日本中の原発の停まった2012年5月5日、飯田哲也さんを迎えての集会で「脱原発!八王子市民宣言」をしました。

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脱原発!八王子市民宣言

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あの日、(2011年3月11日)午後2時46分、私たちの社会を根底から揺るがす大地震が発生しました。
打ちつづく余震のなか、津波による被害を伝える報道を、私たちは惨状がこれ以上拡大しないよう、
祈るような気持ちで聞いていました。

 

 多くの原子力発電所が地震と津波に襲われ、とりわけ福島第一原子力発電所は、水を失い、非常用電源も働かず、
原子炉の冷却機能が停止したことが伝えられました。最悪の事態は、爆発という形であらわになりました。
「安全神話」で固められていた日本の原子力発電所が次々と爆発していく悪夢のような光景を、
私たちが忘れることは決してないでしょう。

 

かつて、遠い日に消えた「水ヲクダサイ」という呻きが、今度は原子炉からひびくかのようで、胸が震えました。
その日以来、目に見えない、とてつもない放射能が大地に海にと広がりました。
 放射能は、福島の美しく豊かな土地と人々に甚大な被害と悲しみをもたらしつづけ、ここ私たちの住む八王子の山々、
歴史を刻んできた街並みにも降り注ぎました。いまなお、事故の収束は見えません。

 

 それ以来私たちは、知りもしなかった単位や元素の名前を覚え、放射能の恐ろしさと生産者の苦しみのはざまで、
店先の米や野菜を前にして、思い悩む日々を送っています。西日本に移り住んだ隣人もいます。その砂場は安全なのか、
この川辺で子どもを遊ばせてほんとうにいいのか。
3・11以前には想像もしたことのなかった状況で、いま私たちは日常を過ごしています。

 

 残念なことに、電力会社をはじめ政府・マスコミから伝えられる情報はきわめて乏しく、
一方、市民科学者、市民メディアの活躍が多くの隠された事実を明らかにしました。
全国で次々と立ち上がった市民放射能測定所を、ここ八王子でも市民が生み出したのは、
ただ一心に子どもたちの未来を守りたいという切なる願いからです。

 

私たちは、学びました。
 
原子力発電は、ひとたび事故を起こせば、取り返しのつかない被害と恐怖を、
将来にわたり、地球規模でもたらすことを。働く者が被曝し、地域や人びとの暮らしが分断・破壊され、
処分しようのない核廃棄物が必ずどこかに押し付けられる。
この発電の全プロセスは、新たな差別さえ生み出し続けてきました。
脱原発社会の実現は、私たちの、未来の世代への責任です。

 

私たちは、これまで原子力発電を止めることができなかったことを深く反省しています。
そしてこれ以上、核と原子力のツケを背負って生きることをはっきりと拒否します。
そのために必要な、暮らしや生き方の転換ならば、両手を広げて歓迎します。
 いま、世界中で進行している持続可能な再生・自然エネルギーへの移行を、私たちの社会でも進めていきましょう。
原子力にも化石燃料にも頼らない、自然エネルギーを導入していく革新的な仕組みは、
世界のどこでも、地域の小さな実践から始まったことを、今日知りました。
八王子の私たちもまた、自然エネルギーと子どもたちの笑顔あふれるコミュニティを、
多くの仲間たち、隣人たちと手を携えて作っていきたい。

 

 2012年5月5日、日本のすべての原発が停止する今日この日を記して、ここ八王子から宣言します。

 

「原発なしでいこう!」「原発よ、さようなら!」

 

2012年5月5日第6回子どもたちの未来と自然エネルギーを考える八王子市民講座参加者一同